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21g


[あらすじ]

クリスティーナ(ナオミ・ワッツ)は建築家の夫と2人の幼い娘に囲まれ幸せな家庭の主婦。また、ジャック(ベニチオ・デル・トロ)は刑務所から出所してからは神を信仰し、真面目に働き2人の子供と妻を養っている。一方、大学で数学を教えるポール(ショーン・ペン)は余命1か月と宣告され心臓のドナーを待つ日々だった。

 「魂の重さは21g」が普及したのはこの作品の影響も大きかったのでは。当時配給と同時に映画館で見たと思います。10年ぶりの再鑑賞。当時見た時は全体的な展開の暗さと、時系列の編集と、物語自体の衝撃と恐怖を覚えたものですが、年月を経て今同じ作品を見ると、その時系列の編集こそが役の哀しさを際立たされている事に気付かされました。全てのシーンが終末に向かってパズルのピースのように突き刺さってくる。先に答えが出されるのだが、何故そうなったのか、何故そうなってしまったのか、ひとつひとつ回収されていく。

 年をとって昔見た映画を見返すと新たな魅力に気がつけることも面白く、また何年経っても素晴らしい映画は素晴らしい。逆に昔すごく好きだったのに今見ると当時ほどの感動を感じられなかったりもする。その時の気持ちや状況で評価も変化する。当たり前の事なのだけどそこが映画や音楽の良さでもあり。久々にそれを思い出しました。




 この作品では命と向き合う3人が出てくる。

 ◆ポール
 心臓病を患っている男。余命1ヶ月となったところで脳死の患者からの心臓移植を受ける事が出来、生き永らえた。しかし「あなたの子供がどうしても欲しい」と強く願う妻に生かされていたが、それも妻の自分勝手な理由であった事を知り、夫婦生活も完全に破綻する。またせっかく提供された心臓との相性も悪く結局はまた新しいドナーを待っている状態でいつ死んでもおかしくない。人の死を待つ身に辟易し、人生の生き方を見失っている。

 ◆ジャック
 過去に罪を起こし人生のほとんどを刑務所で過ごすも、聖書に出会い心から改心し、妻と子供2人に恵まれ真面目に幸せに質素に暮らしていた。しかしまたも不慮の事故を起こしとある家族の命を奪ってしまう。自分の子供が可愛いことが、そのまま自分の起こした罪の深さとして彼の心をえぐり、葛藤を重ねるも結局自分を許すことが出来ず家族の元を離れる。人生に絶望している。

 ◆クリスティーナ
 夫と娘2人の4人家族。絵に描いたような幸せな家族。だが自分を残して3人は事故で死んでしまう。夫は脳死状態であり、妻は夫の心臓をドナー提供する事に決める。しかし結局孤独に耐え切れず自暴自棄になり薬物に手を染める。彼女もまた1人残された人生の生き方を見失っている。


 全員が自暴自棄、でも人は傷つけたくない。生きる価値が見出だせない、でも自殺をする権利が無い。この3人が交錯し物語は進んでいく。彼ら3名のそれぞれ、見ていて誰のことも責められない。でも誰のことも褒められない。ただ、全員の気持ちが痛いほど分かる。人生は思うようにいかない。「人間は何回死ねばいいのか」「何回生きねばならないのか」。物語のテーマ。10年ぶりに聞いた言葉だけれど、やはりグッと来る。

 ジャックが起こした事故で消えたクリスティーナの家族。搬送先の病院では、ポールの状態が悪かったが故に、病院側から脳死の夫のドナー提供について判断を頼まれ。クリスティーナを孤独にした張本人の2人の男同士の絶望のぶつけ合い。それを見て更に怒りの行き場を失くすクリスティーナの絶望。救いようのない話なのだけれど、1つの命が唯一の希望を残す。

 ジャックが事故を起こしていなければポールは死んでいた。ポールが死んでいたらクリスティーナに新たな命は宿らなかった。運命は皮肉すぎる。全員が苦しい。


 21g。そんなに軽いのに、すごく重い。心って何なんでしょう。生きるって何なんでしょう。



 ところでこの主役3名。猛烈な演技力。強烈です。ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、そして我らがベニチオ・デル・トロ(ユージュアル・サスペクツの大ファンなもので)。監督はアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。覚えられそうにない名前ですが。バベルの監督だそうで。バベルも未見ですな。


 余談ですが我らが(←しつこい)デル・トロ。本当に名演でした。風貌からロック感が漂うせいか、悪役ばかり回ってきてしまっていましたが、この作品では悪いは悪いけど、ただ悪い人ではなく良い人でありたいと葛藤するとても良い役でした。ブラボー!

 その後暫くまた悪役が続くのですが、デル・トロの挑戦だったのでしょうね。自らが制作に携わり、主演を演じるのです。その名も「チェ」!(チェ、て!)しかし、役作りに20キロ以上も減量し、ついにカンヌ男優賞、他でも最優秀主演男優賞を取ったのであります。デル・トロ痺れる。かっこいい!これから更に渋みを増し、優しさも滲み出てくるであろうデル・トロ様。今後の活躍、とても楽しみですね。

過去に書いた記事もちょいちょい書きなおしたりします。記事作成日はリスト調整のため、手動でいじる事が多いため、観賞順ではありません。
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